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【ヒュンメル】トルコW杯を前にレオピン杯をプレイバック

8月3日、10月にトルコで開催されるWAFF WORLD CUP 2022(アンプティサッカーワールドカップ2022トルコ大会)に参加する日本代表のメンバーが発表された。日本代表の活動が本格化する中、5月末に3年ぶりに開催されたアンプティサッカー春の全国大会「レオピン杯」を振り返った。

■3年ぶりのアンプティ全国大会

アンプティサッカーは、病気や事故で手足を失った人たちが、ロフストランドクラッチと呼ばれる松葉杖をついてプレー。フィールドプレイヤー6名とゴールキーパーの7名で、サッカーの3分の2ほどのサイズとなる40m×60mのコートで戦い、フィールドプレイヤーは主に片足の切断者で、GKは片腕の切断者である。

日本では2010年に始まったアンプティサッカーの競技人口は100名弱。春と秋に2度の全国大会が開催されている。新型コロナウイルスの影響で、昨秋から今年2月に延期開催された日本選手権は、まん延防止など重点措置期間ということもあり、3チームでの大会となったが、今回のレオピン杯は6チームでの開催に。

クラッチがぶつかり合う音が響き、バランスを崩して激しく転倒もする競技性の高いアンプティサッカー。各チームの選手たちは、順位決定戦も含め、2日間で4試合をプレー。決勝戦で4ゴール、大会8得点でMVPと得点王を受賞したのは、日本にアンプティサッカーをもたらした松茂良ジアス・エンヒッキ選手。「今日はよく入るな、と自分でもびっくりでした。久々の大会で、いろいろとどうなるか分からない中で、チームとしてがんばってきたことを結果に残せた。練習した甲斐がったし、優勝したからといって落とさないで、秋に向けてしっかりと取り組んでいきたい」と落ち着いて語った。

■10月にはトルコでアンプティサッカーW杯

アンプティサッカーワールドカップは、今年10月にトルコで開催される。関西セッチエストレーラスの近藤碧選手は、東アジア予選には体調不良で参加できず。決勝戦で0-8と完敗したものの、「次は全然勝てると思うし、納得いってない。チームでできていないことを言い訳にせずに、個人で走り込んだり、チームメイトと自主練習をするなど、巻き返したい」と負けず嫌いの性格をのぞかせた。

バングラデシュで行われた東アジア予選を3連勝で勝ち抜いた日本代表の前鼻啓史監督は、「10月の本大会まで、国内合宿を3回できたらと考えています。これから協会としては、選手の経済的負担をなくせるように取り組んでいきます。また、大会を迎えられたとしても、デフオリンピックや車いすバスケで見られたように、コロナ陽性者が出るなどで、開催国に到着しながら試合ができないことも考えられます。そうした感染対策も徹底しながら、トルコに臨む準備を進めていきたい」と協会としての課題を指摘した。

日本サッカー界のご意見番としても知られるセルジオ越後さんは、日本アンプティサッカー協会の最高顧問を務める。2日目の試合を観戦し、「3年ぶりの開催で、コロナという厳しい環境の中、よく頑張ったが、試合では体力や技術の差が出た。これをきっかけに、各チームもっともっとレベルを上げ、取り戻してほしい。10月には日本代表がワールドカップに参加します。若い選手を引っ張っていき、今日をスタートとして、素晴らしいアンプティサッカーを広めてほしい」と選手たちを激励した。

アンプティサッカーとは

30年以上前にアメリカの負傷兵が松葉杖をついてプレーするサッカーを、リハビリテーションとして始めたのが競技のきっかけ。フィールドプレイヤーは下肢の切断者で、日常生活でも使われる松葉杖(ロフストランド・クラッチ)をついてプレーし、GKは主に上肢を切断しており、片腕でプレー。フィールドプレイヤー6名とGK1名の7人制サッカー。日本には2010年に導入され、日本代表は2018年メキシコワールドカップで過去最高の10位を記録するなど、近年実力を伸ばしている。
【日本アンプティーサッカー協会ウェブサイト】