ヒュンメルが掲げるブランドミッション“Change the World Through Sport”(スポーツを通して世界を変える)。アフガニスタンとシエラレオネでサッカー代表チームのサプライヤーを務めるなど、ヒュンメルは失われた可能性をサポートする活動を続けています。
今回はそれをもっと日常的に考え、ミュージシャンや学生など8名に撮影&インタビューを実施。個人的なことや家庭的なこと、はたまた社会的なことでも、何かを変えようとしている、変わり行く実感を得ていることを伺うことで、より多くの人が世界を変えるきっかけを掴むことができないかと考えました。インタビュー第六回目は、妊婦のふみさん。
女性であることの喜びを感じる
女性というだけで、母性があふれるわけではない。男性でも母性を持つことができるように、毎日の生活の中で、母性は育まれると言われている。女性は子どもを宿し、手のひらをそっとお腹にあてた時、母親になるんだと思う。ふみさんは、妊娠を期にモデル活動を一時休止した。「日々の生活にかまけていると、自分中心になってしまうんですよね。そんな時に気をつけているのが、空を見上げるっていうこと。大きな木に触れてみたり、旅に出てみたり。今はお腹も大きくなって、自由がきかないのですが、旅番組を見たりすると、普段の視点から離れて自分を俯瞰できるような気がするんですよね」
「妊娠してから、自分の小ささを感じると同時に、小さいながらも私も世界の一部なんだっていう、居心地の良さも感じるんですよね。もうすぐ、私に子どもが産まれる。小さな自分にさらに小さな子どもがいるんだって感じで。まだ本当に小さな存在だけど、私に大きな変化をもたらしてくれたし、女性であることの、妊娠できたことの喜びを感じています」
3年前に起きた東日本大震災。「友達がボランティアを始めて、私も参加したかったんだけど、『子どもが欲しければ行かないほうがいいんじゃないか』という話を聞いて、行けなかった悔しさがあって」と語るふみさん。震災当初、放射能汚染への不安から、福島県民というだけで、『近くに寄るのは危ない』と言われた時期まであったが、空気や大地など自然界にも存在するウラン・トリウムでの被ばく数値から考えても、福島で暮らすことも、福島の物産を食べることも、それにもちろん福島で育った子どもが、将来赤ちゃんを産むことも問題ないことが今では分かっている。だが、震災直後は情報が錯そうし、何が正しいか分からなかった。
「行って、何か役に立つことができれば」という気持ちと、「本当に大丈夫なんだろうか」という正しいことが分からない不安。二つの気持ちで揺れ動いた葛藤の末、自分自身ではなく、将来の命を守るために、避けて通ることしかできなかった。「自分の小ささを感じて、何もできないんだってイヤな気持ちにもなって」と、ふみさんの声のトーンが落ちる。
小さな幸せを広げるハンドメイドアクセサリー
今、ふみさんによるハンドメイドのアクセサリーがメイドインワールド原宿店やマイトリー代々木上原店など都内5店舗に並んでいる。もともと美大出身。「何か作ることは好きだったんですが、家にアトリエがあるわけじゃないし、結婚してからは、自分だけの問題でもなくなって」。油絵や彫刻は生活とスケールが合わず、「自分のペースで、かつ小さなスペースでもできる」ということで、ミサンガなどのアクセサリーを作るようになった。
「ミサンガって、アクセサリーとしてだけではなくて、希望や願いを込めたってことが重要で、身につけていることで、その願いが叶いやすくなるって言われているんですよね。うつむいてばかりいるよりも、自分のペースで空を見上げて、希望や夢を抱いて、幸せを日々分け合いたい。そんな小さな幸せが広がっていけば、社会全体だって明るくなっていくんじゃないかな、って。私にとってミサンガはそんな象徴でした」
「子どもを産みたかったから行けなかった震災ボランティア。そう考えると、このお腹の子は私の希望なのかな、と思いますね。この子ができるまでミサンガを作って、ミサンガの代わりにこの子が宿って。何だかそんな風に感じます。それに、私は不完全な存在だけど、そんな私をこの子が世界につなげてくれるって。私自身、母親ってものからはかけ離れている気がしてたんですけど、多分そんな意味があって授かって。それはすごく幸せだなと思っていますし、ちゃんと育てていかないとって、思っています」
この春行ったヒュンメルインタビュー8名のうち、今回だけ後日談を追記したい。もちろん、お腹の赤ん坊のその後、である。東京に満開の桜が咲き誇る頃、新たな命が誕生した。「妊娠後期は、もう分娩が愉しみで仕方がなかったんですよね。そして、きっかり3000gで生まれてきてくれた男の子。破水もせずに、羊膜に包まれて出てきました。助産師さん曰く『非常に稀なことで、牛や馬のお産と同じくらい安産だった』そうです。友達からは、何度となく『生まれたらもっと大変だよー』と聞かされましたが、今のところ、幸いなことに拍子抜けしています(笑)。分娩が恐いと思えば恐いし、大変だと思えば大変だけど、大変じゃないと思えば大変じゃなくなる。考え方次第じゃないかなって思いました。だから、周りに流されないで、私たち家族にとって心地良い考え方で、これから子育てをしていけたらいいなと思っています」
FUMI
「妊婦だからといってファッションまで守りに入りたくはないんですよね。だから髪の毛も金髪にしたり。ただ、妊婦は急激な体の変化があって、重心が変わるからバランスを失いがちなんですよ。だから安定感のあるスニーカーってすごくいいんですよね。このシューズは、まるで外国の飴のような色で元気をくれるので、甘くなり過ぎないように千鳥格子でピリリとしめて、足どり軽やかに歩きたいなって思いました」
SLIMMER STADIL HIGH VANVAS
Price:7,150円(税込)
Size:36-43(22.5-28.0cm)