広島文教高校が2年ぶりの選手権、ピースユニフォームを全国初披露

第30回全日本高等学校女子サッカー選手権大会が新年3日より、兵庫県の各地で行われる。広島文教大学附属高校は2年ぶり15回目の出場。大会への意気込みや全国の舞台で初披露するピースユニフォームについて話を聞いた。

劇的な勝利で全国大会へ

広島文教は、広島県予選準優勝で中国地域予選会に進むと、1回戦で松江商業に5-1で勝利。準決勝ではAICJに0-2で敗れ、3位決定戦に進むと、鳥取城北を相手に終了間際に追いつく粘りを見せ、PK戦で9-8と勝利。2年ぶりの全国大会進出を決めた。

松木俊博監督は、「今までの指導者人生で、こういう劇的な勝利で全国を決めたことはなかった」と振り返る。1点ビハインドで迎えた残り10分、DFの寺村穂香さんが、『文教のサッカーをしよう。私たちのサッカーをやり続けよう』とチームを鼓舞した。

それを聞いて、「指導者冥利に尽きるな、と感じるとともに、いらないことは言わないほうがいいな、と黙っていると、終了間際のCKで同点に。PK戦で勝つことができて、本当に選手に連れて行ってもらう選手権だと感じています」と選手たちを讃える。

初戦は常盤木学園と対戦

今年の広島文教は、初めてキャプテン交代制を導入。「3年生7人が日替わり交代でキャプテン、副キャプテンを務めています。今年の3年生には合っていたようで、相手の気持ちや大変さが分かるようになったんじゃないかな、と思います。チームの連携を強めるために学年の壁を壊そうと、率先して掃除や洗濯を務めるなど、それぞれが考えて行動できるようになりました」と笑顔に。

初戦の相手は、選手権で5度の優勝を誇る常盤木学園高校。松木監督が、「なでしこジャパンに多くの選手を輩出しており、阿部由晴監督は、人を育てることに関しては、女子サッカーの第一人者ともいえる。そういうチームと試合ができること自体ありがたいですが、ただ出るだけの大会じゃないので、思いっきりぶつかりたいですね」と1回戦を見据える。

インタビュー日の副キャプテンDF原田沙南さんは、「私は人生で初めての全国大会。3年生全員が試合に出られたら、と思いますが、みんなユニフォームで繋がっている」と話すと、キャプテンFW村上穂乃実さんは、「相手が分かった時、嬉しかったですね。試合が楽しみですし、日本一を目指して頑張りたい」と目を輝かせた。

平和への想いを繋げるユニフォーム

常盤木戦で広島文教が着用するユニフォームは、オレンジベースのピースユニフォームに。これは、2020年度の3年生たちが、授業の一環でつくった、広島から平和を発信するメッセージが込められたもの。昨年は、県予選で敗れたため、今年が全国初披露となる。

松木監督は、「去年全国に連れて行けなかった子たちの想いも一緒に全国に出たい。もちろん悔しさも感じるでしょうが、それも感じてほしい。コロナのせいにしたくないし、自分たちに足りないところがあることも認めたうえで、想いを繋げたい。誇りをもって堂々と生きてほしいし、サッカーを自分の糧にして生きていってほしい」と卒業生へのメッセージも込めて全国の舞台に上がる。

原田さんは、「日本は今、平和が当たり前。でも、そうじゃない国もたくさんあると教わりました。そういう意味でもピースユニフォームでプレーして、心が繋がっていければと思います」と話すと、村上さんは、「ピースユニフォームをつくって初めての全国。8月6日について知らない人も、これを機会に知ってもらえたらと思いますし、平和への気持ちが伝わるかなと期待しています」と笑顔で語ってくれた。


広島文教大学附属高等学校

広島県広島市安佐北区にある私立の高等学校。 第二次世界大戦後の混乱の時代に、日本再生のために「誠に徹した堅実な女性」の育成することを目的に武田ミキにより創設された。2019年に、広島文教女子大学の共学化により、広島文教大学附属高等学校と改称。逞しく生き抜くことができる、自立した女性を育成する。

http://www.h-bunkyo.ac.jp/highschool/

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