寺嶋良、「子どもたちが続いてくれる最初の一歩に」

2021-22シーズンよりヒュンメルと個人契約を締結したBリーグ広島ドラゴンフライズの寺嶋良選手。前シーズンまで過ごした京都や社会貢献活動、読書について話を聞いた。

京都でやり残したこと

「京都でやり残したことがあったから、もう1回京都で挑戦しようと思った」と、京都ハンナリーズに入団した理由を語ってくれた寺嶋良選手。6歳でバスケットボールを始めた寺嶋選手は、中学校では全国準優勝を経験し、京都府の名門・洛南高校に進学した。

洛南高校は、828年に空海が創立した綜芸種智院を源流とする学校で、世界遺産である東寺の境内に学校がある。バスケットボール部は、インターハイの京都府予選を44連覇するなど、名門として知られていたが、キャプテンを務めた3年で東山高校に敗北。「45年ぶりに東山に負けた代なんです」と責任感を感じながら振り返る。

東海大学4年の2019年12月に京都ハンナリーズとプロ契約。寺嶋選手は京都に帰ってきた。チームに勢いをもたらした初年度を経て、2020-21シーズンは、オールスターゲームに初選出、新人ベスト5にも選ばれた。「高校の頃はそこまでたたかれることはなかったけど、正直、京都に対していい思い出がなかった。でも、ハンナリーズに入って、あたたかいブースターがいつも応援してくれて、大好きな街になった」と、挑戦できた2シーズンで、やり残した気持ちを回収することができた。

プロ初年度から始めた社会貢献活動

「活躍するようになってからではなく、プロになれば始めようと思っていた」と語る社会貢献活動をスタートできたのも京都だった。その想いは寺嶋選手が通っていた小学校にさかのぼる。「通っていた学校が当時はまだ少なかったユネスコスクール(ユネスコが認定する学校の国際ネットワーク)で、ペットボトルキャップを集めてワクチンを送ったり、空き缶のプルタブで車いすを寄贈したり。

また、bjリーグの東京アパッチの選手たちの学校訪問を受け、プロ選手の影響力の強さも感じていた。プロになれたら、こういう活動ができたらいいな、と子ども心に思っていた。

オフシーズンにヒーロー賞の賞金を認定NPO法人あおぞらに寄付することから始めた寺嶋選手。「あおぞらさんを知ったのは一冊の本がきっかけ」と語る。映画化もされた『僕たちは世界を変えることができない。』は、大学生が150万円の寄付でカンボジアに小学校が建てられることを知ったことから始まるノンフィクション。今は、作者の羽田甲太さんがNPOの理事長を務め、京都市内に事務所を構えている。寺嶋選手は、チームの協力も得て、あおぞらコーヒーの販売と募金を行い、カンボジアの40世帯に浄水器を届けることができた。

将来のきっかけづくり

「2020-21シーズンは、ヒーロー賞の寄付に加えて、あおぞらコーヒーでの取り組みを行ったんですが、ひとりでできることって限られているんですよね。一番の目的は、このコーヒーをきっかけに知ってもらいたいということ。僕が小学生の時に感じて、今しているみたいに、将来子どもたちが続けば、大きなものになる。その最初の一歩にならないかな、と思っています」

読書専用のインスタアカウントも開設している寺嶋選手は、子どものころから本に囲まれて成長した。「イヤなニュースやバスケの悩みも本を読んでいれば忘れられる。この世界から離れた気分になるんですよね。バスケをしていても上手くいっている時のほうが少なくって、7割は悩み。でも、本の中に答えがあるんです」

「体のケアは温泉に行ったりしてリフレッシュしていますが、本を読むことで想像したり、疑似体験しながらあおぞらコーヒーを飲んでリラックスしています。こうして形になってくれたことを、『恵まれたな』と思いますし、他のコーヒーを飲むのとは全くちがう気持ちになれるんです」と笑顔で教えてくれた。


 

寺嶋 良/ RYO TERASHIMA

1997年10月23日生まれ、東京都出身のバスケットボール選手。東海大学4年時の2019年12月に京都ハンナリーズとプロ契約。2020-21シーズンは、卒業後初年度のルーキーながら、副キャプテンを務め、オールスターゲームに初選出。新人ベスト5にも選ばれた。リーグトップクラスのクイックネスを武器にしたPGは、2021-22シーズンから広島ドラゴンフライに移籍。新しいチャレンジのシーズンを迎える。

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