日本ハンドボールリーグ「世界で戦えるディフェンス力を」

第45回日本ハンドボールリーグ2020-2021の第7週、10月11日に大阪府堺市の金岡公園体育館で湧永製薬 ワクナガレオリックvsジークスター東京が行われた。国際ハンドボール連盟(IHF)のオフィシャルパートナーであるhummel(ヒュンメル)は、日本でもハンドボールを強化。この試合は、ヒュンメルユニフォーム着用チーム同士の試合となるヒュンメルダービーマッチ。試合は大阪を第2ホームとする湧永が30-19で勝利した。

ヒュンメルダービーは湧永の勝利に

昨年世界文化遺産に登録された大山古墳(伝仁徳天皇陵)からほど近い金岡公園体育館で、日本ハンドボールリーグ男子、湧永製薬vsジークスター東京の試合が行われ、コロナ禍で入場制限のある中、552名の観客が静かに試合を見守った。

両チームとも今シーズンまだ1勝で、主力選手をケガで欠く、似たような状況。試合序盤は9-8とシーソーゲームで進むが、湧永のエース成田幸平選手(日本代表)の連続得点などで点差を広げ、湧永が5点リードで前半を終了。後半、ジークスターはディフェンスを修正し、反撃を見せるも、シュートミスに加え、キーパーが好セーブ。湧永は確実に得点を重ね、30-19で勝利した。

手応えのある勝利

湧永は、キャプテンの子安貴之選手が、9月19日のトヨタ車体戦で左膝を負傷。復帰までは1年がかかる見込みに。小薮憲次監督は、プレーに加え、チームを明るいキャラクターで引っ張るキャプテンのケガに、「正直、僕も気持ちが沈んでしまって、申し訳ないところがあった。ただ、チームの士気は予想とは違い上がりました」と逆境にメンバーが集中力を高めたという。

ただ、試合はその試合を挟み4連敗。惜しい試合もありながらも、この日まで1勝5敗と負けが続いていた。小薮監督は、2試合目のゴールデンウルブス福岡戦以来となる勝利に、「どんないいプレーをしていても勝たないと、チームの勢いはのってこない。これが今の湧永の力なのかな、と思います。ただ、今日は単発でやられたところはありましたが、崩されたシーンはなかった」と手応えのある勝利だったと語った。

10本のシュートを放ち、8得点と活躍した成田選手は、「今日は久々に勝てて本当によかったです。ポイントは、失点を19点に抑えられたところと、後半の最初に連取されたときに全員で踏ん張れたところですね」と勝利を喜んだ。

自分たちのやるべきプレーを

一方、敗れたジークスター東京の横地康介監督は、「攻守ともに課題は山積みです。オフェンスはパス、シュートの精度が低過ぎる。ディフェンスは簡単なマークミス、シューターへのコンタクトが甘く失点するケースが多かった。個のレベルが上がらなくてはチーム力は上がっていかないので、とにかく個のレベルを上げていくしかない」と、主力選手のケガもあり厳しい状況の中、前を向いた。

この日、チーム最多の5得点を記録した豊本涼太選手は、「練習中にやれてなかったことが結果に出てしまった試合でした。ZEEKSTARのプレーが徹底できていないことにより、試合中に上手くいかなかったときに、何がダメだったのか理解しないまま次の戦術が出ずに焦ってしまうところが最も修正すべき点だと感じます。今は、対戦相手に関係なく自分たちのやるべきプレーができるかどうか。そこにチームの気持ちがひとつになることができるかが勝利への鍵になると思います」と対応力を上げていくことを課題とした。

世界で戦えるディフェンス力を

また、この試合にはベンチ外となった湧永のキャプテン・子安選手が、左ひざの手術を前に、チームの応援に来阪。「コートの外からはプレーで見せられないですが、今は託すこと。若い選手たちには、僕が抜けたことを逆にチャンスだと思ってほしい。僕は必ず復帰します。まだまだ負ける気はないですが、その時に僕の戻る場所がないくらい、僕が焦るくらいに成長していてほしいですね」と明るく語った。

湧永・小薮監督は、「最近日本リーグでもハイスコアのゲームが多い。それは、ジャッジが厳しくなっていることでファウルを恐れているというのもありますが、ディフェンスの力が発揮されていないから。そういう立場ではないですが、ディフェンスの力を上げていかないと世界とは戦えない」と語り、今シーズンはプレーオフを目標としながら、さらに上を見て練習を重ねているという。

11チームで争う日本リーグ男子。試合は2回戦総当たりで2月まで続く。その後、上位4チームがステップラダー方式で最終順位を決定。リーグ戦3位と4位の勝者がリーグ戦2位と対戦。その勝者がリーグ戦1位と決勝戦を行う。湧永製薬 ワクナガレオリックとジークスター東京。ふたつのヒュンメルチームが、ハンドボールが戻ってきた日常で熱いプレーを続ける。


 

湧永製薬 ワクナガレオリックについて

湧永製薬ハンドボール部は、広島県安芸高田市を本拠地とする、男子ハンドボールチーム。愛称はワクナガレオリック(WAKUNAGA LEOLIC)。1976年の発足以来、全日本総合選手権では7連覇を含む優勝14回、日本ハンドボールリーグ8回など、数々のタイトルを獲得してきた名門チーム。チーム名の「LEOLIC(レオリック)」は、商品のレオピンにちなみ、機敏な動きで攻撃し、タフで鉄壁の守りができるチームをイメージしたもの。

【OFFICIAL SITE】http://www.wakunaga.co.jp/handball/handball.html


 

ジークスター東京について

“東京から、世界と戦えるハンドボールチームを!”をコンセプトに、2018年4月に誕生したハンドボールクラブ。ハンドボールの本場ドイツで勝利を意味する「ジーク」と勝ち星を意味する「スター」を積み重ねることによって強いチームを目指すことを表す。2020年シーズンから日本ハンドボールリーグに参入。ITコンサルティングやビジネスイノベーションを手掛けるフューチャー株式会社のグループ会社が運営を手掛け、ITでスポーツを変えていく将来性にも期待が集まっている。

【OFFICIAL SITE】https://www.zeekstar.tokyo/

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