架空のサッカーチーム『葉羽エストレーノ』の可能性!

バイクのまちとして知られる葉羽市をホームタウンにするJ2リーグ所属のサッカークラブ葉羽エストレーノのユニフォームが発売中と聞いて、「?」が何個つくだろうか。葉羽エストレーノは、新型コロナウイルスによりJリーグが中断する中でサポーターから生まれた架空のサッカーチーム。サッカーのない日常をエアサッカーで楽しもうとする葉羽エストレーノの試みを聞いた。

エアJリーグをきっかけに誕生した葉羽エストレーノ

2020明治安田生命Jリーグ、2020JリーグYBCルヴァンカップはいずれも延期になっており、J1とJ2、ルヴァンカップは1試合ずつおこなわれたものの、J3は開幕戦さえ行なわれていない。そんな中断期間に、サッカーを楽しみたいと架空のサッカークラブが生まれ、架空ながらにスポンサーロゴの入ったリアルなユニフォームが完成。4月25日まで販売中だ。

Jリーグの公式ツイッターアカウントが、第2節の鹿島アントラーズvsヴィッセル神戸の試合予定日だった2月28日にポストした『#エア明治安田生命Jリーグ』には、クラブや選手、DAZNも参加。これをきっかけに、サポーターの間でサッカーゲームを使うなど、オリジナルのエアJリーグに発展した。

葉羽エストレーノを立ち上げた龍恭平さんは、「アイデアとして面白かったんですが、ツイッターの流行って1日2日で終わっちゃうんですよね。J1からスタートして、J2が始まる頃にはもう飽きていた。だから、僕は存在しないチームを戦わせたらどうかと思ったんです。架空のサッカーチームがJ2リーグに所属している体でできたのが葉羽エストレーノです」と語る。

サッカーを盛り上げるために選択肢を多く持つ

龍さんは小学5年生でアビスパ福岡サポーターとなり、福岡ソフトバンクホークスファンの友達に囲まれながらも、アビスパ新聞などをつくってきたという過去を持つ大学生。大学2年時に就職活動の一環で、自分の強みを意識させられたことから、Jリーグのサポーターであることが自らの心の支えにもなり、アイデンティティーを形づくってきたことだと実感。サポーターの在り方について模索するようになった。

例えば、自分が書いた記事の有料化もできる『note(ノート)』では、読者から集まる支援金をアビスパ福岡やJリーグが盛り上がるコンテンツづくりに活用している。その代表的なものが、「初めてのサッカー観戦」の記事化である。Jリーグの試合をスタジアムで見たことのない人を招待することからスタート。観客増やグッズ売り上げという直接的なものから、将来的なファンづくり、記事によりサッカーの楽しみをサッカーファン以外にも広げる取り組みになっている。

「様々な活動をしていく中で、生きるための選択肢を多く持つこと。そして自分が選択される人間になることをより意識するようになりました。自分ひとりでできることって限られていますが、『note』でサポートしてくれる人たちがいたり、相談できるサポーター仲間がいることで、アビスパ福岡を、Jリーグを、そしてサッカーを盛り上げていくことができる。純粋にサポーターをしていた時と比べ、ひとつひとつの試合の勝ち負けよりも大事なものが見えてきた感じですね」

葉羽エストレーノのノーリスクな取り組み

大学4年生になった龍さんが大学時代の最高傑作にしたいという葉羽エストレーノは、「全国の人が楽しめるように架空の街を舞台」とし、海外サッカークラブの取り組みも応用している。葉羽市民には生まれてから死ぬまでクラブと共にあってほしい理念のもと、葉羽市で生まれた赤ちゃんにスタイを贈ったり、小学校入学時にはクラブマスコットのレノンくんのイラストが入ったランドセルカバーをプレゼントしている。

「こういう取り組みって、時間がかかりすぎるし、あまりにも未来への投資となるので、実際にはやりづらいんです。イベント企画には様々な関係者との調整も必要ですが、僕がサポーターとしてこんなことをしてほしいと思っていたことも含めて、エストレーノでは利害なく、アイデアだけで勝負できる」と語る。

ユニフォームのスポンサー募集にいち早く反応したyolloは、定額制のホームページ運用サービスを行っている。COOの魚住智広氏は、「アイディアが魅力的だし、仕事が早くて現実化するスピード自体に笑ってしまいます。設定も隅々まで決められているし、まるで本当に存在するかのようです。さらに、SNSからのアイデアもどんどん取り込むので、普段Jリーグでサポーターをやっている人にとって、現在のようにJリーグのない日々でも、クラブを支えるような感覚になることができる。サポーターとのやり取りも軽妙で、世界一サポーター心をくすぐるクラブだと思います」と葉羽エストレーノの魅力を語る。

オーセンティックユニフォームの発売

今後のエストレーノについて龍さんは、「今のところ、Jリーグが始まれば続けるつもりはないんですが、名前やユニフォームをまとめて売って、リアルなチームが誕生したら面白いな、と思っています」と話す。ゲームやアニメという広がりも考えられるが、リアルに発売するユニフォームは、これが最初で最後になるのかも。カスタムオーダーサイト『オンリーヒュンメル』でベースをつくった葉羽エストレーノのユニフォーム(半袖9,104円〜、長袖9,720円〜)は、で2020年4月25日(土)まで受注予約を受け付けている。

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