浅川隼人「地域交流、SDGsに繋がるアスリート食堂」

サッカースパイクをサポーターに提供してもらい、その売上などでヒュンメルはロアッソ熊本の浅川隼人選手が進める社会貢献活動を共に行う。『Hayato Dream Project』と名付けた活動のひとつがそのスパイクをきっかけにする企画。それに続いて浅川選手が計画を進めているのが、スポーツの力を地域に還元し、SDGsを見据えたアスリート食堂である。

積み重ねた食事がアスリートのアウトプットを生み出す

4月23日(木)締め切りのクラウドファンディングで進めているアスリート食堂は、All-in方式で実施するため、目標金額に満たない場合でも食堂はオープンする。そこまで強い想いで進めている食堂の店名は、『chabudai』に決まった。食の常識をひっくり返す意気込みが、そこには込められている。

浅川選手は学生時代から食事に気配っていたが、より強いこだわりを持つようになったのは、Jリーガーになってからだ。「トレーニングって多くて2回。でも食事は1日に3回ある。『食べること』ってアスリートにとって大事で、自分自身に向き合えるもの。ただ、食事による効果ってすぐに出るものではなくって、それこそ1年間の積み重ねで結果が出てくるもの」と語る。

浅川選手は、Y.S.C.C.横浜2年目となった昨シーズン、食事の内容を一部変更した。試合の2日前までは玄米食で糖を抜き、そこから白米にして糖を入れるカーボローディングを実施。白米の方が炭水化物や糖質が多いため、吸収が良くなり、90分走れる身体をつくるベースとなった。「糖は頭を動かすエネルギーになるため、集中力が続くようになりました。体重も安定し、キレのある動きができるようになったため、頭は動いているけど、パスミスをしてしまう、というようなアンバランスが解消されました」と話す。その結果、浅川選手はシーズン13得点を記録。チーム過去最高となるシーズン12勝、13位に貢献した。

熊本県のスポーツ力を高める

アスリート食堂『chabudai』(熊本市東区長嶺西1-6-106)は、ロアッソ熊本のホームスタジアム『えがお健康スタジアム 』から車で約10分。練習場となる熊本県民総合運動公園からも程近い。ロアッソ熊本には、練習前後に選手が食事をとるオフィシャルの食堂がないこともあり、浅川のアスリート食堂は、選手たちが栄養バランスのとれた食事ができる場所となり、チーム強化にも繋がる。

「身体が資本となるプロアスリート。その身体は食べたものでしかつくられません。長く現役を続けたり、結果を出し続けるには、その土台に必ず食事があります。食が変わり、食への意識や知識が変われば必ずチームも強くなり、その結果熊本県を盛り上げることに繋がります」

浅川選手は、日本一アスリートと関わることのできるアスリート食堂を通じて、笑顔や学びが生まれるアットホームな場所作りをコンセプトに掲げている。Bリーグの熊本ヴォルターズをはじめとした、他競技との連携も視野に入れ、熊本県全体を『アスリート×食』で盛り上げようと考えている。

地域に根差した交流の拠点に

「僕自身、『日本一地域に根差したクラブづくり』という理念に共感してロアッソに移籍しましたが、そもそも、ロアッソは、地元の人たちと手を取り合って活動をしていくクラブチームです。アスリート食堂には、健康食を取りそろえるので、子どもからお年寄りまで3世代が集える場所になれるし、アットホームな交流で笑顔と学びが生まれます」と地域と世代を繋ぐ場所を目指している。

「今って、サッカー選手が少し遠い存在にあると思うんです。でも、アスリート食堂に来れば選手と気軽に会話できる。試合の後に、選手と交流することもできるし、親御さんはアスリートが何をどういうふうに食べているかを知ったり、料理教室などで学び、子どものサポートに繋げてもらうことができる。将来プロ選手を目指す子どもにとっても、いい刺激になりと思いますし、アスリートにとっても、今後の熊本のスポーツや子どもを考えて行動できる場所になります」

持続可能な未来に繋がる食堂に

さらに、浅川選手はSDGs (エスディージーズ)をも見据えている。SDGsとは、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標で17の具体的な目標がある。浅川選手は、形が悪かったり、傷がついて廃棄される規格外野菜を活用したり、地産地消の食材を使う。さらに、食育セミナーや料理教室、農家での農業体験会を実施やエコ素材のお弁当に入れたアスリート弁当の宅配などを計画している。

「僕自身、『夢を追いかけられる環境をつくりたい』っていう夢があって、今回のプロジェクトもクラウドファンディングを足がかりに進めようとしています。SDGsは、将来的に世界中で達成しないといけない目標。美味しい健康的な食事の提供や住み続けられるまちづくり、質の高い教育など、SDGsを指標に、小さな食堂でも未来のためにできることがある。持続可能な未来のためにできることがあると思うんです。この食堂が皆さんとともに夢を追いかけられる場所になったら嬉しいですし、それを叶える場所にしていきたい。多くの人に賛同してもらえたら」と語った。


浅川隼人

1995年5月10日生まれ、千葉県出身。178cm/72kg。ジェフユナイテッド市原・千葉のアカデミー出身で、八千代高校、桐蔭横浜大学を経て、2018年J3リーグのY.S.C.C.横浜に入団。ルーキーイヤーは出場試合0ながら、練習試合で結果を残し、2019年シーズンに32試合13得点と飛躍。2020年シーズンは同じくJ3のロアッソ熊本に移籍。SNSを駆使し、社会へのアクションを起こすレンタルJリーガーとしても知られる。

浅川隼人オフィシャルサイト:https://hayatoa.official.ec
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