桃色のスペシャルユニフォームで原発事故による風評被害の払しょくに

J3の福島ユナイテッドFCは、この夏、ピンク色の3rdユニフォームを着用し、3試合を戦った。7/8の福島市でのホームゲームからスタートし、今月末8/27のホーム沼津戦で4回目。10月に最後の着用マッチを平塚で行うが、桃ユニフォームといわれるこのピンク色のスペシャルユニフォームは、原発事故に伴う福島県産品への風評被害の払しょくに繋げようという思いで企画したもの。福島ユナイテッドFCの竹鼻GMに、その狙いを聞いた。

福島にあって良かったと思われるチームに

福島ユナイテッドFCが、Jリーグにステップアップしたのは、J3リーグができた2014年シーズンにさかのぼる。それよりも前から、竹鼻快GMは、チームの存在意義を常に問いかけてきた。それは、2011年の震災後のスポーツどころではなかったいう状況から、今も変わらない。

「我々がしなければいけない最大の目標は、福島の人たちに『ユナイテッドがあって良かったな』と思ってもらうことになります。それには3つの要素があって、まず、経済効果。そして風評被害の払しょく。そして、サッカーという最高のエンターテイメントを楽しんでもらうこと」と、福島をホームタウンにするチームだからこそ、できることがあるし、しなくてはならないことがあると語ってきた。

例えば、風評被害の払しょくについては、2013年からアウェイゲームの試合会場で福島県観光のPRを行い、翌年より、福島県産の野菜や果物、ジュースやジャムなどの加工品をチームが仕入れ、アウェイ会場で販売する「ふくしマルシェ」を行ってきた。その流れから、選手やスタッフが農園に出かけ、りんごや桃を生育、販売することも2014年からスタートさせた。


サッカー以外でも福島のために活動

今シーズン、そうした取り組みの中で、さらなる効果を狙って企画したのが、桃ユニフォーム着用マッチである。桃が旬になる夏にあわせた3rdユニフォームで、これまで7/8FC東京U-23戦@福島市、7/16セレッソ大阪U-23戦@会津市、8/19FC琉球戦@沖縄市で行い、チームは1勝1敗1分の五分。8/27アスルクラロ沼津戦@福島市、10/8カターレ富山戦@平塚市と、全5試合を4会場でプレーすることになる。

原発事故に伴う福島県産品への風評被害の払しょくに繋げようと福島県と共同で企画したこのユニフォームは、桃をイメージさせるピンクで統一。背番号の下には、「ふくしまプライド。」のメッセージも入れた。竹鼻GMは、「今までマルシェで農作物を販売したり、農園から桃とりんごの木をユナイテッドで買い取って育ててきた経緯があります。農家の方たちに教えてもらいながら、全て選手が対応していますが、こうした取り組みが、福島県が掲げている『ふくしまプライド。』と呼応し、今回のユニフォームになりました」と語る。

選手は、桃ユニフォームの着用だけでなく、農園で受粉や摘果、収穫や梱包も行ってきた。他のチームでは体験できない経験をし、サッカー以外でも福島のために活動していくことを目指す福島ユナイテッドFC。会津で行った着用マッチで2ゴールしたアレックス選手は、収穫に参加。「初めての経験だったんですが、新しいことを学ぶことができました。地域貢献活動を通じて、サポーターと交流し、日本の文化を毎日少しずつ学んでいます。サッカー以外にもこうした地域活動に参加できて、非常に嬉しいです」と話す。選手が育てた桃は、およそ1500個。既にオフィシャル通販サイトで完売となった。

音楽とフットボールで福島に元気を

また、8/27(日)に開催されるJ3リーグ第20節では、桃ユニフォームを着用する福島ユナイテッドFCの前座試合として、今年も元日本代表選手とミュージシャンの混成チーム「Jレジェンド&MIFA FC」の復興支援マッチが開催される。福西崇史や山口素弘、戸田和幸ら日本サッカーの歴史を飾った豪華メンバーが、GAKU-MCやTERU(GLAY)、HAN-KUN(湘南乃風)とチームを組み、福島県県北地区高校選抜チームと対戦する。

竹鼻GMは、「これも震災後の取り組みのひとつですが、『復興支援を行いたい』といってくれたMIFA FCやその思いをイベントとしてまとめてくれた福島民報の協力でできていることです。今年4回目になりますが、福島の人たちが、サッカーの試合に加え、ライブというエンターテイメントを楽しめたり、そのライブを楽しみに県外からお客さんが来られて、経済効果が生まれています。福島を知って、体験して、また来てもらうようなきっかけになればいいと思っています」と語った。

福島ユナイテッドFC/ FUKUSHIMA UNITED FC

福島県福島市をホームタウンにしたJ3に所属するサッカーチーム。UNITEDとは、「結ばれた、団結した」の意味で、チームや選手、スタッフ、サポーターが”ひとつ”になり、福島が”ひとつ”になり、発展していくことを指す。2012年シーズン、東北社会人リーグ1部を連覇し、全国地域リーグ決勝大会で2位となり日本フットボールリーグ(JFL)昇格。今年、J3リーグで4年目の戦いを迎える。
【OFFICIAL WEBSITE】 https://fufc.jp/

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