髙瀬愛実選手インタビュー

2011ドイツでの世界一、2012ロンドンでの銀メダル獲得と、この数年、飛躍を続けるなでしこJAPANの常連メンバーとなったINAC神戸レオネッサ高瀬愛実選手。まだ23歳と代表の中では若手の高瀬選手は、両大会とも控えに回ることが多く、出場も途中交代が数試合とプレー時間は限られたものだった。しかし、その後の2012年シーズンには、なでしこリーグの得点女王・MVPに輝き、昨年は所属するINAC神戸レオネッサのリーグ3連覇、4冠獲得に貢献。今シーズンからは、INAC神戸のキャプテンを務めるなど、確実にキャリアを重ねてきた。更に先月行われた2014ベトナムでは、全試合に出場。アジアチャンピオンの主力メンバーとなった高瀬選手を梅雨空のもと訪ねた。

Megumi Takase

1990年11月10日生まれ。北海道出身。
2009年にINAC神戸レオネッサに入団。1年目はリーグ戦19試合に出場し16得点を挙げ、新人賞を獲得。2012シーズンは自身最多の20ゴールを記録し、得点女王とMVPを受賞。今シーズンはキャプテンとしてチームを引っ張る。日本代表では、45試合に出場、6得点。(2014年6月6日現在)

達成感があるアジア初V!

14度目で初のアジア優勝となった今大会。世界一になるよりも、アジア一になることのほうに時間がかかったくらい、アジアでの戦いは日本にとって厳しいものだった。「優勝は素直に嬉しいです。先輩たちも今まで何度もチャレンジして、とれずにいたタイトルだったので、若い選手にとっても重みがあるものですし、達成感がありますね」

1次リーグの初戦は、前回王者オーストラリア。2点ビハインドから、追いついてのドロー。その後のグループステージでは、ベトナムに4-0、ヨルダンに7-0と快勝し、グループAを1位で突破。準決勝は中国を相手に、延長戦までもつれ込んだものの、2-1で劇的な勝利。決勝は、初戦に引き分けたオーストラリアとの再戦を1-0とものにし、アジアの頂点に輝いた。

「一番印象に残っているのは、準決勝の中国戦ですね。本当に苦しい戦いでしたが、全員が一丸となって、延長戦も最後まであきらめずに戦い抜き、なんとか勝つことができました。この厳しい試合があったからこそ、チームがひとつになった感じがしましたし、次の決勝にもつながったと思います」

常に点をとる意識を持って戦う

今大会、なでしこJAPANには、欧州に所属する6選手が招集できず、また、初戦のオーストラリア戦で活躍した大儀見選手も、予選3試合の限定出場と、今まで主力を務めてきた選手に変わって、若手選手にチャンスが巡ってきた大会でもあった。

「海外組が不在の今回のメンバーの中では、自分は代表経験がある方でしたので、しっかりと試合に出られたというのは、よかったですが、同時に自分がやらなきゃいけないという責任感やプレッシャーはありました。今回は自分より若いメンバーが4人いて、同学年のメンバーが私を含めて6人いました。いつもと比べてピリッとした雰囲気はなかったかもしれませんが、自分としては、同世代のメンバーが多いことで、いい刺激を受けられました」

「試合では、今まで、どちらかというと守備に追われている感じがありましたが、今回は以前に比べ冷静にピッチに立つことができ、『点をとる』という意識を常に持って戦うことができました。ただ得点できなかったので、チームとしては優勝できましたが、個人的にはその部分が課題として残っています」

「チームあっての個人なので、チーム全体のことやチームが勝利するということが第一ではありますが、個人的には国内・海外の試合を問わず、まずは点をとって結果を残していきたいと思います。なでしこリーグでも緊張感、危機感を持って、プレーしたいですし、来年のカナダ大会の代表メンバーに選出されるよう、結果を積み重ねていきたいと思います」

2012年シーズンのなでしこリーグMVPも、自分自身、納得できるMVPではなかったと語る高瀬選手。2011年、世界一のメンバーとなったことについても同様。数々の経験を経て、自他ともに納得できる世界一のメンバーとなるために、高瀬愛実の挑戦は続く。

CATEGORY

RELATED POST