• 昨年9月にFリーグのシュライカー大阪からスペイン一部リーグのUmacon Zaragoza(ウマコンサラゴサ)に移籍した佐藤亮(さとうとおる)選手。ヨーロッパ選手権でリーグ戦が一時中断した一ヶ月、日本に戻ってきた佐藤選手は精力的にクリニックを開催。ビギナー向け、親子向けの他、元チームメイトの村上哲哉選手とコラボ個人フットサルも。その中でも、佐藤選手が関東リーグFUGA MEGURO(現・フウガすみだ)時代に、初めてクリニックを開催し、思い入れの強いエフネットフットサルククラブ柏(FFC柏)で開催されたビギナー向けクリニックに参加した。

 
1985年8月4日生まれ、新潟県出身、180cm/70kg
長岡ビルボードFCでサッカーを始め、帝京長岡高等学校、順天堂大学と進む。大学時代にフットサルと出会い、日本代表を目指す。関東リーグ1部FUGA MEGURO(現・フウガすみだ)の主将としてチームを率い、フットサル全日本選手権でFリーグ2連覇中の名古屋オーシャンズを下し、優勝。シュライカー大阪を経て、2013年9月、スペインフットサル1部リーグ・Umacon Zaragoza(ウマコンサラゴサ)へ移籍。ポジションはFIXO。
【OFFICIAL BLOG】http://ameblo.jp/sato-toru/

佐藤選手が帰国中にクリニックを開催した目的は大きく二つ。一つはスペインで体験し、学んでいるプレーを伝えたかったという技術寄りなこと。もう一つはフットサル普及という大きな考え方によるものだった。トップリーグに所属する選手だからできるフットサル普及プロジェクトRAD FUTSAL PROJECT。現役選手の経験や技術、それにフットサルの魅力や楽しさを伝えるこの活動に佐藤選手も参加。「現役選手だからこそ、感じてもらえることやできることがあるんじゃないかな、と思っていますし、一緒に体験したいんですよね」

当日は、時折2月の肌に刺すような寒風が吹くものの、ボールを蹴り始めるとすぐに気にならなくなるといった感じ。参加者は施設の常連さんやFUGA時代からのサポーター、地元のフットサルクラブに所属する中学生までと幅広い。佐藤選手がFFC柏で経験者向けのクリニックを始めたのが、2008年10月のこと。経験者向けの講習には大人に混じって一人だけ小学生が参加していた。少年は大きく成長し、今春には高校生となり、Jリーグの下部組織に入るという。彼も佐藤選手のクリニック開催を聞いて駆けつけた。


クリニックは、ウォーミングアップから始まり、足裏で止めて蹴るという基本から始まり、もらいに行ってボールを足裏で前方に転がすようにしてパスなど、応用編に変わっていく。今回は「個人でちょっと上手くなる」をテーマに、テクニックよりもコツをつかんでもらうためのスペイン流フットサルクリニック。ボールをもらう前の動き、駆け引きを磨いたスペインでの5ヶ月が、もらいに行ってパス、という一見単純なプレーに見て取れる。

 

もう一つの大きなポイントが、抜かれないディフェンス。スペインで相手選手との距離が2mあったところ、『それではディフェンスにならない』と言われた佐藤選手。距離を半分の1mに詰めてプレッシャーをかけるように言われたという。なおかつ、すぐにボールを奪おうとはせず、徐々にプレッシャーをかけていく。ボールを取るタイミングは伺いながらも、抜かれないことを念頭に置く。

 

シュート練習、3対2などの練習後、3チームに分かれてゲーム。ゲーム形式になってからも「1メートル、1メートル」と佐藤選手から大きな声がかかる。ボールをもらいに行く前の動き、プレッシャーのかけ方をゲームでも意識する。

 

2時間のクリニックはあっという間に終了したが、延長でゲームをもう少し。つりそうになる足を奮い立たせて、オフェンスとの距離を1mに詰める。ボールをもらう前の動きに気を配る。充実のクリニック終了後は円陣でスペイン風に掛け声をかけてフィニッシュ。佐藤選手が試合の際、チームが団結して戦うために叫ぶ魔法の言葉だ。『un dos tres equip!』(ウン ドス トレス エキッポ!)。2月とは思えないくらいに温かくなったカラダとココロ。クリニックを通じて一つのチームになれたと感じたのは、最後の掛け声のせいだけではないはず。見上げると空に虹がかかっていた、なんてなってたら詩的でよかったんだけどな、とつぶやきながらFFC柏をあとにしたのでした。