「4vs4 Amputee Sete CUP」アンプティ選手と共にプレー

病気や事故で手足を切断した選手が松葉杖をついてプレーするアンプティサッカー。ヒュンメルが2014年よりサポートしている関西セッチエストレーラスが、この春、新たな取り組みを実施。障がいの有無に関わらず参加できる4人制のアンプティサッカー大会を、3/19に大阪府貝塚市のいずみスポーツヴィレッジで開催しました。


障がいの有無に関わらず参加できる初めてのアンプティ大会

アンプティサッカーは、フィールドプレイヤー6名とゴールキーパーの7名で、25分ハーフ、サッカーの3分の2ほどのサイズとなる40m×60mのコートで戦う競技で、フィールドプレイヤーは主に片足の切断者で、日常生活で使われる通常の松葉杖「クラッチ」をついてプレーする。今回の「4vs4 Amputee Sete CUP」では、15×30mのコートで1試合7分(順位決定戦は7分ハーフ)の4人制で行い、アンプティ選手と共に、一般参加者も片足を上げて一緒にサッカーを楽しんだ。

関西セッチエストレーラスの代表増田勇樹さんは、今回の目的をこう語る。「全国大会も年2回開催され、サポートを受けられることも増えてきましたが、自分たちでプレーする環境を作ることを忘れないようにしたいという思いがありました。準備や当日の運営、審判も含めて全て自分たちで実施し、選手やスタッフを含めた気づきの大会にしたいんです。それと同時に、障がい者スポーツ、障がい者サッカーのひとつとしてのアンプティサッカーではなく、アンプティサッカーの価値を高める取り組みにしてきたいと思いました。今回は、年齢や性別、障がいの有無に関わらず参加できる大会。これを各地域に広めていきたいですね」

今年6月には日本代表がポーランド遠征を行い、来年にはワールドカップも行われるなど、競技性の高いアンプティサッカーだが、小学生や女性でも参加しやすいように、ルールは少し緩めに設定。普段より小さめのコートで、短めの時間、さらに一般参加の女性はボールを蹴る時だけ片足を浮かして蹴り、走る時は足をついてもオッケーとした。


スポーツが生きがいに

今回のイベントには、アンプティ選手の他に、障がい者アスリート同士の交流も狙い、車椅子バスケットボールの選手も参加した。この15年、毎年約100回、学校やイベントでの体験講座活動を行なっているNPOパラキャンで車椅子バスケの諸隈有一さんは、「サッカーはそれこそ小学校の授業以来ですが、楽しいですね。今回は、同じチームに小学生がいたり、いろんな世代がプレーしているのがいいですね。スポーツを通して関わることで、自然とコミュニケーションがとれるんです」とスポーツの持つ良さを教えてくれた。

森ノ宮医療大学の1年生和田有稀奈さんは、高校までサッカーをプレー。JFAの指導者養成講習会で『サッカーなら、どんな障がいも超えられる』というポスターを見かけ、興味を持った。「アンプティサッカーは名前しか知らなかったですし、同じサッカーでも激しさが違うんだな、とびっくりしました。呼びかけたら友だちも来てくれ、アンプティ選手と試合もできて。私ができることは限られていますが、これからも広げていくことに役立てればいいな、と思いました」と話した。

アンプティサッカーの全国大会『レオピン杯』で運営ボランティアに参加したこともある大阪医療福祉専門学校の2年生茨木良さんは理学療法士を目指している。「病院で患者さんと接した後の生活が、こういう障がい者スポーツの現場で見られるんだと思います。スポーツが一種の生きがいになり、その人のためになるんだと感じました」と、将来目指す仕事に深まりを持つことに。


地域に広がるきっかけの大会を

大会は10チームが2ブロックに分かれ、予選8試合と順位決定戦5試合が行われた。3位決定戦は関西セッチエストレーラス同士の戦いで、キャプテン冨岡忠幸選手が率いるAWAYユニフォーム着用チームが勝利。決勝戦は、九州、広島、北海道の公務員選手が集ったFC.public4とFCアウボラーダの戦いに。代表メンバーが合わせて4名おり、個人技、パスワークともに、アンプティサッカーの技術の高さが見られた決勝戦は、アウボラーダが3-2で勝利。日本代表のエース・エンヒッキ松茂良ディアス選手は、「スタッフと一緒に大会に出られたことが良かったですね」と語ったが、一般参加者もプレーした楽しさとはまた違う、激しさのある試合内容には、「代表メンバーが3名いるチーム。あれくらいでいかないと、簡単にやられちゃう」と力が入った。

日本アンプティサッカー協会で広報を担当する太田智さんは、「5月には全国大会が大阪であり、6月には初の代表海外遠征もあります。そして、そのポーランド遠征期間中、国内では、代表に入らなかったメンバーで強化合宿も行います。今日の大会は、普段試合の出場時間が限られるメンバーも出られましたし、僕もそうですが、障がいのない参加者が一緒にプレーできた。今後、一般参加がもっと増えると面白いですね」と語った。

増田さんは、「今回皆さんから参加費を頂いています。諸経費を除いた利益は全て次に行う4vs4の大会に使ってもらいたいと思っています。それは大阪じゃなくてもよくって、東北や四国など、アンプティチームがない地域でやっても面白いですね。今回のように医療系の大学生や専門学生がチームを組んで、学生の選手権だってできる。リハビリテーションを含めて講義もすると、授業の一環にもなります。地方自治体と協働したり、いろんな人が関わっていくことで、地域に広がっていって欲しいですね」と大会を振り返った。

アンプティサッカーとは

30年以上前にアメリカの負傷兵が松葉杖をついてプレーするサッカーを、リハビリテーションとして始めたのが競技のきっかけ。フィールドプレイヤーは主に片足の切断者で、日常生活で使われる通常の松葉杖をついてプレーし、GKは主に片手を切断しており、片腕でプレー。フィールドプレイヤー6名とGK1名の7人制サッカー。25分ハーフ、サッカーの3分の2ほどのサイズとなる40m×60mのコートで戦う。日本には2010年に導入され、日本代表は2014年メキシコワールドカップで初勝利。決勝トーナメント進出も果たすなど、近年実力を伸ばしている。

【日本アンプティサッカー協会ウェブサイト】https://j-afa.com

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