世界初、ヒジャブ付きサッカーユニフォームを発表

2016年3月8日の国際女性デーにグローバルローンチしたアフガニスタンサッカー代表チームの新ユニフォーム。ベースレイヤーがセットになった女性用キットには、髪の毛や肌を露出せずに、フィールドでパフォーマンスを発揮したいアフガン女性のために作った世界で初めてのヒジャブ付きユニフォームです。日本では、3月24日に行われる日本代表vsアフガニスタン代表戦が、ユニフォーム初披露の場となります。


アフガニスタン女子サッカー界のアイコンとともに開発

今回発表したユニフォームは、男女同デザインですが、女子選手には髪の毛や太ももを覆い隠すことのできるベースレイヤーがセットされています。そして、シャツは、世界で初めてとなるヒジャブ付きのユニフォームとなりました。ヒジャブとは、ムスリム女性が外出時に頭髪を隠すために着用している布のことで、アラビア語で『覆うもの』という意味があります。

ヒュンメルは、アフガニスタンサッカー女子代表の前キャプテンとアフガニスタンサッカー協会とともに、このユニフォームの開発に取り組みました。アフガニスタン女子代表チームでキャプテンを務めていたハーリダ・パパールは、膝の故障により、引退を余儀なくされましたが、代表で20試合以上のキャップ数を数えました。若くしてキャリアを終えたハーリダですが、彼女は今もアフガニスタンで最も影響のある女性の一人です。彼女は、アフガニスタン国民に女子サッカーを知らしめるだけでなく、アフガニスタン中の女性に、エンパワーメントの手段としてスポーツが非常に大きな力があることを示しました。そして、今回彼女は、ヒュンメルとアフガニスタンサッカー協会と手を組み、この新しいユニフォームを開発する上で重要な役割を果たしました。

「代表チームでキャプテンを務めることはすごく名誉なことでしたが、アフガニスタンの何千もの少女や女性に、ロールモデルとして見られるのは、さらに大きな誉れとなりました」と、彼女は話しました。ハーリダは、2010年、アフガニスタン女子代表とNATO軍とのフレンドリーマッチにキャプテンとして参加。敵対するのではなく、スポーツを通じてともに仲間としてつながりを感じることができるのだということ、アフガニスタンの女性もサッカーをする自由があるということを表現したこの試合は、CNNを始めとし、世界中のニュースで報道されました。

この経験を踏まえ、ハーリダは「アフガニスタン女子代表チームは、フットボールには人々を繋げる大きな力があることを示してきたと思います。そして、私たちはアフガニスタンの女性に、大いなる希望をもたらすことができたと思っています」と話しています。


アフガンにフィーチャーしたデザイン

ヒュンメルは、今まで様々なチームのユニフォームデザインを手がけてきましたが、アフガニスタン代表チームのユニークシャツのデザインは、もはやフットボールを超えたものになったのではないかと思っています。デンマークのスポーツブランドであるヒュンメルは、フットボールブーツに初めてスタッドをつけた革新性を持ち続け、パフォーマンスを向上させるチャレンジを続けてきました。今回のユニフォームでは、アフガニスタンの豊かな歴史や伝統、文化を表現し、かつ現代的なツイストを加えました。

デザインを担当したポール・フィッツジェラルドは、こう話しています。「初めから、シャツが重要だったことは明らかでした。私はハーリダに、アフガニスタンと聞いて連想するものは何かと尋ね、『アフガンの山々』と彼女が答えてくれたのですが、この事実がまさに今回のデザインの出発点となりました」

シャツのデザインには山々の美しさが反映され、ボディの前面と背面にはエンボス加工したライオンが大きな特徴となっています。これは、代表チームのニックネーム「アフガンライオン」に由来します。そして、このライオンのデザインは、木彫りやアフガン書道、宝石作りといった首都カブール(カーブル)にいる熟練の技を持つ職人の技に大きな影響を受けました。「ピッチを駆け、アフガンの人々の勇気を示してくれる象徴であるライオンの中に、アフガンのモチーフをデザインできたことは、驚きであり、また、素晴らしい結果になったと思っています」とデザイナーは話しました。

ハーリダは、このユニフォームを手にして、「私はこのユニフォームデザインのスタートから関わりましたが、アフガンのキャラクターを強く反映し、伝統や歴史を盛り込みたいと思っていました。その二つは共に達成されました」と話してくれました。

ストーリーのあるスポンサーシップ

ヒュンメルのオーナーであるクリスチャン・スタディールは、「今回のアフガニスタン代表ユニフォームは、アンダードックである私たちにもスポットライトが当たるんだということを教えてくれます。私たちヒュンメルが、世界最大のチームをサポートすることはありません。しかし、アフガニスタンのようなストーリーのあるチームやクラブとは、パートナーシップを組むことができます。アフガニスタンの人々には、『自分らしくいてもらいたい』と考えています。その一環として、アフガンの新ユニフォームでは、ヒジャブを着けても、着けなくても女性がサッカーを楽しめるようにしました。今回のこの発表は、心を揺さぶるような物語の最新章に過ぎません」と話しました。

今回のアフガニスタンユニフォームは、ヒュンメルのブランドミッション“Change the World through Sport(スポーツを通して世界を変える)”の実現に向けた大きな一歩になると思っています。そして、アフガニスタンの女性にとっても、このユニフォームは歴史的な意味を持つと思います。平等とプライドを力強く象徴し、パフォーマンスもアシストするユニフォームが、ヒュンメルにとっても、またヒュンメルのブランドミッションを実現する上でも、新たな推進力になると思います。

RELATED POST